さて、今回は最近読んだマーケティング本の中から『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』で提唱された顧客セグメントの考え方「9セグマップ」のご紹介です。
著者は、P&G Japanやロート製薬で活躍し、現在はスマートニュースで辣腕を振るう西口一希氏。
4月8日に発売されたばかりの本ですが、医薬品マーケティングでも使えそうなフレームワークや考え方が満載のとてもオススメの一冊です。
本書の主張は、「名前の見えない複数の誰かではなく、名前を持つ1人の具体的な顧客を深く知ることが、
マーケティングに活かせるアイデアを導くことになる」というものです。
それを実践するための理論とプロセスの解説と実際にスマートニュースがどのような分析と施策をもって
アプリランキング100位圏外からNo.1になったかのケースが記されています。
成功した理論体系は医薬品マーケティングでもとても役立ちそうです。
そんな中で、とても興味深いセグメンテーションの考え方が、「9セグマップ」です。
まず、顧客を「ロイヤル顧客」「一般顧客」「離反顧客」「認知・未購入顧客」「未認知顧客」の5つに分類します。
本書では、これを「顧客ピラミッド」と呼んでいます。
これは、ターゲット全体に「認知/購買経験/購買頻度」の調査をすればわかります。
呼び方は違っても、この分類はわかりやすいですし、多くの企業でも使われています。
そして、各セグメントごとに基本的なマーケティング戦略を構築することになります。
このセグメンテーションに、「購入者本人の次回のブランド購入や使用意向」である「ブランド選考」の軸を加えたのが「9セグマップ」です。
顧客ピラミッドの「未認知顧客」以外の4つのセグメントに対して、
自社品と競合品を含めたカテゴリーにおいて、次も購入/使用したいブランドはどれかを聞きます。
自社品がYESなら積極顧客、NOなら消極顧客です。
これで、顧客ピラミッドの「未認知顧客」以外の4つのセグメントが倍の8つになります。
これでセグメントが合計9個になるので、「9セグマップ」です。
顧客ピラミッドは、「行動の結果」を表していますが、「顧客の心理」までは表し切れません。
これに、「心理」、つまり近い将来の行動の兆しを加えたのが、「9セグマップ」です。
これによって、同じ「ロイヤル顧客」であっても次の打ち手が変わるでしょうし、
「消極ロイヤル顧客」の分析を行えば、問題を発見できる可能性が高まります。
医薬品マーケティングでも処方数量や売り上げだけでなく、「心理面」をセグメンテーションの軸にすることも大切ではないでしょうか?
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。