「アドバゲーム」とは

今回の用語「アドバゲーム」とは、「アドバタイズメント」+「ゲーム」の造語で、ご想像のとおり、商品や企業の広告を盛り込んだゲームのことです。
また、ゲームと広告に活用する手法のことをこう呼ぶケースもあります。

前々回。「デジタルプレミアム」をご紹介しましたが、その一つとして、利用者にパズルゲームやカードゲームをPCや携帯電話から無料でダウンロードしてもらい、そのゲームに企業や製品のロゴが表示させる方法がよく目につきます。

アメリカでは、1990年代からこの手法が開始されていましたが、日本では2006年ごろから活発化してきました。

「アドバゲーム」が増加してきた理由としては、

・インターネットや携帯電話の普及が進み、テレビや新聞広告の効果が減少している。
・テレビや新聞広告より低コストで実施可能である。
・アクセス解析を通じて、定量的な効果判定が実施可能である。
・テレビCMと比較すると、ゲームは利用者が集中しているため、広告をみてもらえる可能性が高い。
・携帯電話や携帯型ゲーム機向けのゲーム配信の場合、場所を選ばず広告をみてもらえる。

といったことが考えられます。

最近ではゲームそのものを提供するのではなく、市販されているゲームに企業や製品の看板をコンピュータグラフィックで表示させる方式も多くなってきました。

実際のプロ野球の球場やサッカーの競技場でもフェンスに数多くの看板が設置されていますが、野球やサッカーのゲームでも同じように企業の看板が表示されているのです。
販売本数が多いゲームであれば、100万本以上売れる場合もありますから、それだけ多くの人に広告をみてもらえるというわけです。

さらに、今後はインターネットを利用したオンラインゲームやウェブ上のコミュティを利用した手法も増えてくると予想されます。
その一例ですが「セカンドライフ」というゲームをお聞きになったことはあるでしょうか?

アメリカで、2000万人以上がプレイするインターネット上の仮想三次元コミュニティで、日本でも800万人のユーザがいます。
セカンドライフ」は、その仮想コミュニティ内で自分自身の分身(アバタ―)を作成し、その分身が疑似人生体験を送れるように仕組みになっています。

アバターはゲーム内でテレビをみたり、町を歩き回ったり、実際の人間と同じ行動を取ることができ、そこには実在の企業が看板や広告を出しています。これも仮想コミュニティを活用したアドバゲームの一種です。

では、この「アドバゲーム」は医薬品マーケティングにはどのように活用できるでしょうか。

「アドバゲーム」のターゲットとなるユーザ層は10-30歳の男性中心であること、ゲームをプレイする時間も必要であることから、現時点では、忙しい医師向けにこの手法を使うのは難しいと思われます。
しかし、「携帯世代」である30歳代前半の若手医師に向けての、診断や治療のシミュレーションゲームといった教育的なゲームであれば、効果を発揮する可能性があるかもしれません。

また、DTCにおいては、例えばメタボリックシンドロームからの脱却を図るための、食事のカロリー計算や運動を考えるゲームなどであれば、疾患啓発に結びつくような企画もありえるでしょう。

医薬品マーケティングにおいては、「アドバタイズメント」・「ゲーム」に加えて「教育」・「啓発」の要素をうまく組みことで、この手法を効果的に発展させられる可能性があるのではないでしょうか。