今回、アンブッシュマーケティングを取り上げます。
アンブッシュマーケティングとは、イベント等でオフィシャル・スポンサーではない企業が、あたかもオフィシャル・スポンサーであるかのような印象を消費者に与えるために行うマーケティングのことです。
「bush」は「やぶ」の意味ですが、やぶに隠れて待ち伏せすることが語源のようです。簡単に言えば、便乗商法のことです。この言葉はあまり知られていなかったマーケティング用語でした。
東京オリンピック開催決定を機に、「東京オリンピック記念セール」、「2020円セール」などのオリンピックをイメージさせる手法で販促を行おうとしましたが、JOCがそれを禁じる動きを取ったことが様々なメディアで報じられ、一躍有名になりました。
オリンピックに関して言えば、オフィシャルスポンサーは多額の費用を拠出するとともに、広告出稿に規制や審査がかけられます。それは、IOCは、知的財産をはじめ、オリンピック資産に関わる全ての権利を持っているからです。日本ではJOCがそれを管理しており、その権利を守ることになります。
そのため、権利の無い企業がその資産や知的財産を許可なく使用することはできません。
また、IOCはオリンピック運営の財務基盤となる費用を負担しているオフィシャルスポンサーの権利を守る義務もあります。もし、関係の無い企業が、オリンピックに関連した広告や販促を勝手に使えば、当然、オフィシャルスポンサーは、契約する意味が無くなります。
こうした背景の中、JOCが、オリンピックに便乗することが違法であることを明言し、アンブッシュマーケティングを抑止するようにしたのです。
これ以外にも大きなイベントに関連して便乗することは、商標法や不正競争防止法に触れる可能性があるようです。
医薬品マーケティングではあまり関係の無いことのようですが、マーケティングと法律の関係については、アンブッシュマーケティング以外でも理解しておくことは必要ですね。