- 今回の用語は「ブランデッド・エンターテイメント」です。
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、映画やドラマなどのストーリー性のあるエンターテイメントに、企業メッセージや製品のメッセージを埋め込むことで、会社名やブランドを視聴者に伝える広告手法のことをこのように呼んでいます。その先駆けは、2001年にBMW社がウェブサイトで配信したショートフィルムだと言われており、2005年まで同社のウェブ上で見ることができましたが、残念ながら現在は見ることができません。
最近では、この手法が日本でも徐々におこなわれるようになってきましたので、この言葉はご存じなくても、無意識に目にされたことがあるかもしれません。それでは、日本の実例としてファーストリテイリング社の「ユニクロ」のCMを見ていただきましょう。(2014年現在サイトが閉鎖されています)
TVでもこのCMと同じキャスティングでCMが放送されていますが、テレビCMとは全く異なるショートフィルムとして、ストーリー性を持たせて制作されています。TV-CMと、このウェブ上のCMの両方を比較すればよくわかるのですが、「企業が伝えたいメッセージ=ユニクロのジーンズのメッセージ」を、「閲覧者が共感できるコンテンツ」として、ショートフィルム形式で発信するのが「ブランデッド・エンターテイメント」です。
従来型のCMに比べて、このショートフィルムではストーリーを伝えることで、より商品や会社について、消費者により強いインパクトを与えて、「記憶してもらう」あるいは「共感してもらう」ことを意図しています。
また、ストーリーにインパクトがあり、視聴者が興味をもてば、ブログやインターネットニュースなど、「ネットの口コミ」によって、認知が広まることも期待できます。
例えば、ここで紹介したユニクロのショートフィルムの存在を知ったのは、ファーストリテイリング社とは全く無関係の方が書いているブログがきっかけです。
ブログでは「内容が悲しく切ないので、商品をPRするテレビCMとしての放送は難しいかも。」とだけ紹介されていましたので、興味を持ち、ユニクロのウェブサイトを訪問し、最後まで見てしまいました。
そしてまた、こちらで紹介しましたから、「ネットの口コミ」効果についても期待できることはわかっていただけるかと思います。
では、この「ブランデッド・エンターテイメント」を医薬品マーケティングにどのように活用することができるでしょうか。
さて、ブランデッド・エンターテイメントに近い手法に、「メディシネマ」があります。これは、製薬企業が、DTCの疾患啓発広告として実施しているものですが、有名な役者が出演し、ドラマ的なストーリーの映像で、視聴者に楽しみながら疾患を認知、理解してもらえるように工夫したものです。
現在公開されているメディシネマ「ため息は辛い時、呼吸は幸せな時」
(2014年現在サイトが閉鎖されています)
しかし、対象が患者のため、ブランド名を告知できませんので「ブランデッド」とはなりません。「ブランデッド・エンターテイメント」として実施するなら、医師を中心に医療従事者向けのコンテンツが必要です。例えば、医療従事者向けに、MRを主人公にしたショートフィルムを「ブランデッド・エンターテイメント」として制作する、といったことが考えられます。
また、薬剤開発の背後にあるストーリーを小説化する、薬剤の処方に関する知識をエンターテイメント的な要素を組み込んだクイズ形式で配信するなど、楽しみながら利用していただけるコンテンツが提供できれば、薬剤名やその価値をより高いインパクトで伝えることが可能になります。さらには、ウェブサイト上の配信だけでなく、MRを介してリーフレットで告知をおこなう、講演会などでも放映する、CD-ROMを作成して配布するなど「クロスメディア戦術」を組み合わせることで、一層効果を高めることもできるでしょう。
消費財マーケティングでは、今後、ますます「ブランデッド・エンターテイメント」の手法は広まっていくと予想されています。医薬品マーケティングにおいても、十分に活用が可能なこの手法をいち早く取り入れ、ブランディングに活用することをご検討されてはいかがでしょうか。
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