さて、今回は「シャルパンティエ効果」を取り上げます。
シャルパンティエ効果とは、重さの感覚が視覚的に見える大きさに影響されて、物理的な重さが同じでも、体積が小さいほうが重く感じられる心理的な錯覚のことです。
「シャルパンティエ=コゼレフの錯覚 」または、「大きさ=重さの錯覚」とも呼ばれています。
たとえば、「ここに5キロのダンベルがあります。あちらには、5キロの風船があります。どちらが、軽いでしょうか?」と聞けば、一瞬、「5キロの風船??」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん、同じ重さですが・・・
他では、「この土地は○○m²の広さです!」というよりも、「おおよそ甲子園球場○個分の広さです」といったこともシャルパンティエ効果の1つです。
医師が対象となる医薬品マーケティングではあまり応用はできないと思いますが、疾患啓発などのDTCマーケティングでは、使い方によっては有効です。
コンテンツ自体は非常に良いのに、数値が羅列されて、一般の方にとってはわかりにくい表現のウェブサイトを、ときどき見かけることがあります。
たとえば、「ビタミンCを200mg摂取しましょう」という表現だと、実際、どの程度を摂ればよいかわかりません。しかし、「レモン10個分のビタミンCを摂りましょう」といえば、イメージすることが可能です。
一般の生活者にとってわかりにくい成分を身近なものに置き換えて、ビジュアル化させることで、だれもが理解しやすくする工夫が可能です。
こうして書くと当たり前なのですが、医学・薬学に詳しい方がコンテンツを作ると、ご自身が理解しているので、つい難しい数値や用語を使ってしまうことがあります。私たちも「患者さん向けコンテンツ」を作る際には、いつも意識しなければならいことです。
血糖値や血圧なども、何らかの方法で「ビジュアル化」することで、よりその状態を理解してもらいやすくできそうです。
一方、通信販売の広告などで「●●1000個分の××が配合!」などのコピーが踊ることもありますが、誤解を招くようなものも見受けられます。
また、「商品50%引き、レジでさらに20%引き!」と「商品60%引き!」では、実は同じことですが、前者の方がお得感があるように錯覚してしまいます。
「シャルパンティエ効果」を意識する場合、「理解を助ける」意味で活用するのは良いですが、「煽る」と誤解されてしまうような活用は避けないといけないですね。
こうした心理学的な効果の使い方を理解しておくことで、コンテンツのわかりやすさの向上などにも活用できるのではないでしょうか。