さて、これまで2回にわたってコミュニティマーケティングの定義やメリット、事例などをご紹介してきました。
コミュニティマーケティングとは、「企業とコミュニティあるいは
コミュニティへの参加者同士のコミュニケーションを通して、
企業とコミュニティの双方にとってのメリットを生み出そうとする
マーケティング」でした。
今回は、コミュニティマーケティング成功のポイントをまとめてみます。
いくつかの成功事例や推進者の方々のコメント、書籍などを見ると、
次のような成功のポイントがありそうです。
まだ、それほど成功事例は多くありませんし、
医薬品マーケティングでの事例も存じ上げません。
それでも、他業種での成功のエッセンスを知っておくことで、
実施するにあたって大きな失敗を防げる可能性が高まります。
医薬品マーケティングで、コミュニティマーケティングを検討する際に
参考にしていただければ幸いです。
1)コミュニティに共感できる価値がある
コミュニティの立ち上げに際しては、
・コミュニティの目的、つまりなんのためのコミュニティなのかを明確にすること
・そこに共感できる価値や存在意義があること
が大切です。
企業でいうミッションやビジョンのようなものです。
これを明確にすることで、コミュニティに集まる人々の
パーソナリティや特徴が決まってきます。
ファンやロイヤルティが高い顧客でも、さまざまな方がいます。
だからこの点はとても大切です。
2)自社ブランドへのこだわりを捨てる
企業としては、自社ブランドコミュニティを作って、
早期に売り上げにつなげたいという目的があると思います。
しかし、ブランド・商品を起点としてのコミュニティ作りは、
スターバックスなど強いブランド力を持っている企業だけが実行可能です。
特に医薬品は、多くの場合、選択する医療者の興味は、
医薬品を使用した患者さんの治療成績の向上や医療レベルの向上です。
1つの医薬品はそれを実現する手段の1つになり得ますが、
全てにはなり得ません。
そのため、自社製品だけのファンや処方が多いという理由だけでコミュニティメンバーを集めるのは、医薬品業界では現実的ではありません。
例えば、特定の疾患の患者さんへの治療法の進展を求める医師をなどが
コミュニティメンバーになるでしょう。
また、自社ブランドへのこだわりが強いと、コミュニティのメンバーを「製品やサービスの販売対象」として捉えがちです。
しかし、自社製品へのこだわりを捨てれば、疾患から患者さんを救うための
パートナーとなれる可能性も高くなります。
3)KPIの設計は慎重に
コミュニティマーケティングは、始めたからといって、
すぐ売上や利益に結びつくケースは多くありません。
ですから、短期的なKPIを売上に関連する数値に求めると、
続けられなくなります。
とはいっても、KGIやKPIが無くては、成果を測定できません。
また、長期的には売上や利益に結びつくことが大切です。
そのため、慎重にKPIを設計することが重要です。
顧客ロイヤルティを図る指標であるNPSやコミュニティそのものへの満足度、アクティブメンバーの割合など長期的に売り上げや利益に貢献する指標を慎重にKPIとして設計することが大切です。
今や、医薬品マーケティングにおけるウェブマーケティングも、
良いコンテンツを配信するだけでは手詰まり感があるように感じます。
今後は、医師をはじめとする医療者との共創ができるマーケティングが
重要になると思います。
コミュニティマーケティングは、その選択肢の1つではないでしょうか?
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。