さて、今回は医療機関&患者さん&製薬企業の共創CRMの具体的な方法を考えてみたいと思います。
今回は、株式会社キープ代表の永井孝英氏ご協力の記事です。
昨今、消費財や通販の分野で特に重要視されているのが、CRMです。
CRMとは、「Customer Relationship Management」の略で、顧客とのコミュニケ―ションの継続を通して良好な関係を築き、
商品やサービスを長く使ってもらい、LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)、
つまり、顧客一人当たりの売り上げを最大化させようとする考え方です。
医療で言えば、医療機関と患者さんが良好な関係性を築き、
治療の継続や服薬アドヒアランスを高め、治療効果を高めるとともに医療機関の売り上げを高める考え方です。
医療機関や薬局では、そのために患者さんへの疾患啓発や指導などを行っているところもたくさんあります。
一方、医薬品メーカーにとっても、医療機関と患者さんが良好な関係性を築くことは大切です。
なぜなら、患者さんの継続的な通院治療は服薬アドヒアランスの向上につながり、自社製品の処方継続が期待できるからです。
特に、内科領域なら糖尿病をはじめとする自覚症状の無い生活習慣病、眼科領域なら緑内障などが一般的に服薬アドヒアランスが低く、
それを向上させることが医薬品マーケティング上の課題となっています。
そのため、医薬品メーカーでは患者さん向けの服薬支援プログラムや疾患啓発資材などを企画・制作し、医療機関へ提供することでCRMを支援しているのです。
もちろん、私たちも服薬支援プログラムや疾患啓発資材などを企画・制作したり、疾患啓発サイトの企画・開発やコンテンツ制作、リスティング広告、FB投稿などの支援を行っています。
ここでいつも問題になるのは、医療機関・患者さん・製薬企業の情報やデータが、一気通貫になっておらず、成果測定が十分できないことです。
しかし、株式会社キープが提供する「ペイシーメール」という医療機関向けCRMツールを活用することで、医療機関・患者さん・製薬企業の共創が可能です。
「ペイシーメール」とは、医療機関向けに提供されているCRMツールです。
疾患ごとに「適正来院(通院)周期」を設定した上で、「どの患者さんが継続し、どの患者さんが流出したか、
また、どの患者さんが来院を復活したか?」などがビジュアル(グラフ)で一目でわかるツールです。
また、患者さん一人ひとりに対応可能で、タイミングを逸しないデータの抽出や解析も可能です。
さらには、医療機関のスタッフ全員で患者さんの来院動向を共有するフォローメールなども装備しています。
ここでは、画面をお見せすることはできませんが、とてもわかりやすい医療機関向けのCRM支援ツールです。
また、導入もとても簡単です。
このツールを活用することで、特定の疾患エリアのCRMを製薬企業が支援することも可能です。
例えば、協力を依頼できる医療機関を10施設程度募り、自社製品を治療領域(例えば、糖尿病)の患者さんへ投薬してもらった上で医療機関への通院支援を行います。
あるいは、10施設を2グループに分け5施設では支援せず、他の5施設では支援して比較を行うことも可能です。
そして、事前の同意の下、3~6ヶ月のテストを行い、個人情報をマスクしたデータを医療機関から製薬企業に提供していただきます。
ご協力いただいた施設とのディスカッションや医療機関の医師全員を集めたミーティングで、CRM向上のために、問題の原因や解決策の具体案などを話し合うのです。
従来であれば、ここまで踏み込んで医療機関と製薬企業がCRMでタイアップを行うことは難しかったのが、実際のところでした。
しかし、「ペイシーメール」を活用することで、医療機関&患者さん&製薬企業の共創CRM実現の可能性が高くなりました。
今後は、製薬企業と医療機関が深くタイアップすることで、より高度で患者さんにとっても価値あるCRMの導入を検討してはいかがでしょうか?
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。