今回は「CFM」を取り上げます。
CFMといっても財務で使われる「Cash Flow Management」のことではなく、「Customer Friendship Management」のことです。
日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の創業者 前澤氏の造語です。
一般にマーケティングではCRMという言葉が良く使われますが、それが上から目線的であるとの観点から、「Customer“Friendship”Management」という言葉を使うことで、お客様一人ひとりの変化やその背景にある気持ちを見逃さずに、まるで友達のような気配りや思いやりを持って対応しようという概念です。
通販であるがゆえに、お客様と直接顔を合わせないからこそ、信頼関係の構築に重点を置くことを意図したコンセプトだそうです。
これは、お客様に幅広いファッションを紹介するというアプローチでプロモーションを実施するという点では特別な施策ではありませんが、「一人ひとりの日々の行動や心の変化を見逃さず、その変化の裏側にある心のあり様を想像し、一人ひとりに合ったZOZOならでは の気配り、思いやりを創造すること」をミッションに、
●まるで、信頼できる友人からアドバイスを受けているかのような感覚で、
●購買データに基づくパーソナライズされたアドバイスを、
●タイミング良く届ける
ことで、実現しようとしたものです。
具体的には、アクセスログや購入履歴、好みなどを参考にして
●靴を買ったお客様には、その靴に合うアイテムをお薦めしたり、靴のお手入れ方法などをご紹介する
●ギフト商品を購入したお客様には、ラッピング方法をアドバイス
●購入後のフォローメール、誕生日メール、お得なキャンペーン情報など、イベントに応じたメール・キャンペーンを展開
などの実施できるような体制を確立しました。
その結果、お客様とのより強固な関係を築き、ロイヤルティーを醸成できたそうです。また、ウェブサイトにアクセスした人のコンバージョン率も飛躍的に向上したようです。
これが実現できた要因としては、
1)機能化
購入履歴から基本情報に至るまで、あらゆる情報を常に把握・更新できる体制を実現
2)相互接続化
顧客やサプライヤー情報などすべて、格納しているデータウェアハウスと連携して一元化
3)インテリジェント化
顧客と「友だち」のような関係を構築するアプローチにより、一人ひとりの購買傾向や好みなどを多角的に捉え、適切なコンテンツやプロモーションを展開
の3つがポイントのようです。
ZOZOTOWNは数百万人の会員がいる巨大なウェブサイトですが、これらすべての会員とのCFMを実現しています。
それに比較すると医療者数は格段少ないので、こうした取り組みを参考にすることで、医薬品マーケティングにおけるウェブマーケティングの仕組みのレベルアップを目指せるのではないでしょうか。