今回は、CXM(Customer Experience Management)について考えてみます。
通信販売でのリピート率アップをはじめ、
マーケティングにおいては顧客との関係性を向上させることが重要です。
そのために21世紀に入って発展してきたのが、
CRM(Customer Relationship Management)という概念です。
CRMは顧客との関係構築を目的として、顧客一人ひとりとの関係を
なるべく詳細にデータベース化することから始まります。
そして、ひとり一人の顧客のニーズに対応して、継続的に最適なアプローチをすることで良い関係を築こうとする考え方です。
その結果、企業はLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)の最大化を目標とします。
そんなCRMを発展させる形で近年、登場した概念がCXM
(Customer Experience Management=カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント)
です。
CXMは、日本語で「顧客体験マネジメント」と呼ばれています。
ここ数年、マーケティングにおいて、
カスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)が大切であることが
声高に叫ばれています。
もはや商品のスペックや機能性だけでは、
商品やサービスの差別化ができない時代となった今、
顧客が商品やサービスを使った際に体験する感動や心地良さなどの感覚的な付加価値こそが差別化や優位性の源泉となりつつあることが理由です。
顧客は、商品やサービスを通した体験で高い価値を感じることで、
それを提供した企業へのロイヤルティが高まり、
その情報が口コミで拡散することが期待できます。
CXMとは、顧客体験を能動的に創造し、適切にマネジメントすることによって顧客ロイヤルティを高めようとする考え方です。
CRMはどちらかと言えば、デジタル的な視点で語られることが多かったのですが、CXMはそれを一歩進めて人の感性や感覚へのアプローチにまで発展させたものです。
簡単に言ってしまえば、
「お客様一人ひとりを知って、おもてなしを自動化する」ことです。
もちろん、「自動化」は手段であって、
根底には「おもてなし」の気持ちがあることが大前提です。
もちろん、CXMの多くはウェブサイトが顧客との接点で
MA(マーケティングオートメーション)やCMS(コンテンツマネジメントシステム)などのツールを使って行うことになります。
CRMと同じくセグメンテーションをしっかり行い、
パーソナルなコンテンツの提供やおすすめの商品の紹介などを行うことになります。
さらに大切なのがスプリットランテスト(A/Bテスト)です。
A/Bテストとは、コンテンツやコピー、クリエイティブを数パターン用意し、
それを見た顧客の反応で最適なものを残そうとするテストです。
A/Bテストを何度も繰り返すことで、今、欲しいものだけでなく、
将来欲しいものまで予測して顧客体験を向上させることを目指すのです。
医薬品マーケティングも医薬品そのものでの差別化が難しい中では、
CRMからCXMへ発展させることが重要です。
しかし、医薬品マーケティングで難しいのは、
エンドユーザーが医療者ではなく患者さんであることです。
医療者が薬を使うのは、あくまでも患者さんを治療するためです。
そうであれば、医療者の体験は患者さんへの医療サービス提供の場面で生まれます。
医薬品マーケティングでCXMを実行するには、
製薬企業が医療者との関係性だけでなく、その先の患者さんの体験まで考えた枠組みや施策を考えることが必要ではないでしょうか?
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。