「DECAX」から学ぶDTCマーケティング

今回は、先週取り上げた消費者行動モデル「DECAX」の続編です。

DECAXは、Discovery(発見)→Engage(関係)→Check(確認)
→Action(購買)→eXperience(体験と共有)の略でした。

従来のモデルとこのモデルの大きな違いは、
プロセスの最初に「消費者起点」を明確に取り入れたことです。
それは、現代のスマホやタブレット型PCによる検索行動の日常化が大きな影響を与えています。

先週のメルマガでは、「D」を深く掘り下げたので、
今回は、DECAXの他の各プロセスに触れてみます。

1)Engage(関係)
このプロセスは、消費者が発見した情報を発信している
メディアや企業と関係性を高めるフェイズです。

興味のある情報を発信しているメディアを見つけた際、
消費者は記事の熟読、「お気に入り」への登録、メルマガ登録、
SNSでのシェアや「いいね!」などが起こる可能性が高まります。

DTCマーケティングも同様に、
潜在患者さんが疾患啓発のウェブサイトを見つけ、
それが自分の病気と関係が深そうだと感じれば、再訪する可能性が高まります。

2)Check(確認)
このプロセスは、消費者がコンテンツやメディアの信頼性や客観性を
チェックするフェイズです。
メディアにあるコンテンツが、自分に役立つか、
偏りや恣意性はないか、などを確認します。
ここは次の「A」や「X」へ進んでもらうための大切なフェイズです。

製薬企業の疾患啓発サイトの場合、
この点は真摯に取り組んでいるのところが多いので、問題がないケースがほとんどです。
ただし、コンテンツのわかりやすさや、読みやすさなども大切なので、
デザインや表現も重要ですね。

3)Action(購買)
これは、関係性を高め、情報を確認した後のアクションである「購買」のフェイズです。
疾患啓発サイトでいうと受診行動にあたります。

4)eXperience(体験と共有)
最後のフェイズは、商品やサービスの体験・共有です。

消費者は、その商品やサービスの良さ、あるいは悪さを、
知人・友人に話したり、SNSでシェアすることが日常化しています。
DTCマーケティングで難しいのは、このフェイズです。

理由は簡単ですね。
サービスである医療を提供するのは、製薬企業ではなく、
「医療者」なので、ここを直接マネジメントできません。
患者さんの体験は、個別の医療施設や医師などであって、
医薬品そのものであることはほぼありませんね。

ここでできることは、
1)服薬アドヒアランスのサポートツールの提供
2)患者さんに声を医師を通じてフィードバックしてもらう
3)医師とともに医療パートナーとなって患者さん目線でサポートできることを行う
などでしょうか。

ここまで一気通貫の流れを作ることができれば、
医薬品マーケティングの大きな変革ができるのではないでしょうか。

このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。