最近では、IT用語がマーケティング用語として使われたり、その逆もあるなど、様々な単語が元の意味から拡大解釈されたり派生的に使われることが増えています。
今回のテーマは、そんな言葉の1つである「デフラグメンテーション」です。
PCの関連用語で「デフラグ」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
「デフラグ」とは、「デフラグメンテーション」の略です。
デフラグとは、PCのハードディスクなどの中で、
断片化されたファイルを連続的な領域に配置し直すことを言います。
PCを使って、ファイルの追加や削除を繰り返すと、
ファイルはディスク内の断片的な領域に配置されてしまいます。
これが、「フラグメンテーション」です。
この状態が続くと、ファイルの読み込み時間が長くなったり、
PCの故障の原因になることがあります。
「デフラグ=デフラグメンテーション」とは、このフラグメンテーションを解消することで、IT用語としてよく知られているのです。
この「分断された状態を解消して問題解決を図る」という意味から、
デフラグメンテーションはマーケティングでも使われるようになりました。
ウェブマーケティングでは、流通業を中心に、様々なチャネルを有機的に統合する「オムニチャネル化」が進められています。
それを進める上で大切なことは、顧客データの統合です。
しかし顧客データは、店舗、ECサイトなど、様々なところで
別々で保有されているケースも多々あります。
これが、顧客データの断片化=「フラグメンテーション」の状態です。
そして、そんな顧客データを統合する取り組みを、
デフラグメンテーションと呼ぶのです。
つまり、バラバラに管理している顧客データを1つのIDで管理して、
会員データを統合するのです。
小売りや流通業の場合は、顧客数が数百万や数千万単位となることもあり、
1つのIDで管理されているケースは少ないため、
オムニチャネル化を本格的に進める上で、
デフラグメンテーションはとても大きなテーマなのです。
一方、医薬品マーケティングの場合はいかがでしょうか?
もちろん、業界構造の特性からもオムニチャネル化は難しいでしょうし、
医師の数は20万人超と限定的です。
また、業界内の単一コードで管理できる体制もできています。
しかしながら、医師の所属、出身大学など、基本的な情報以外の
業績、嗜好、人間関係などの情報は、
「フラグメンテーション」の場合もあるのではないでしょうか?
KOLとの関係性の構築や若手医師との関係性などを強化する上で、
医薬品マーケティングで顧客情報の「デフラグメンテーション」
が必要なのではないでしょうか?
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。