DTCマーケティング知っておきたい通販と共通の指標とは?Part-2

前回に引き続き、DTCマーケティングで知っておきたい通販と共通の指標について考えてみたいと思います。

DTCマーケティングで、疾患認知から受診までのフローは

1)病名を知らない、病識が無い人に病気を認知してもらう
2)その病気の可能性がある人に、より興味をもってもらい深い理解や事前の罹患の可能性をチェックしてもらう
3)そして、その可能性が高いとなると、受診して診断してもらう

でした。

このプロセスで使う2つの指標は、

CPA = Cost Per Aquisition
CPO = Cost Per Order

でした。

CPOについては、DTCマーケティングでは、

CPVD = Cost Per Visiting Doctors
CPPD = Cost Per Prescribing Drugs

などのように分けて考えたほうが分析しやすいことも述べました。

今回はあと2つの指標とその解釈やDTCや意思決定のポイントなどについて触れてみたいと思います。

1つはLTVです。LTVは「Life Time Value」の略で、「生涯価値」のことです。
通販では、商品を1度買ってくれたお客様が何度リピートして頂けるかでその金額が算定されます。

例えば、5,000円の商品の平均リピート率が6回の場合、LTVは30,000円となります。その利益率が70%だとすれば、粗利益金額は21,000円となりますから、CPOがそれ以下だったら投資しても利益が残ります。また、CPOを下げればそれだけ利益が増えます。

そのため、如何にしてCPOを下げるかがマーケティングの課題となります。この考え方はDTCマーケティングでも使えます。

患者さんが自社製品を処方された後の平均的な処方継続期間が想定できれば、「1日薬価 x 平均処方継続期間」でLTVが計算できます。
ここで、投資判断として「LTV x 利益率 > CPPD」なら、投資しても良いことになります。

最後の指標はMRです。これは製薬業界のMRではなく「Media Ration」の略です。「MR(メディアレーション)=広告による新規売上÷広告費」で算定されます。

DTCマーケティングの場合、「広告による新規売上」をどう定義するかは難しいところですが、医療施設にご協力頂き、新規の患者さんの処方状況が把握できれば、DTC実施期間の売上も算定可能です。

「新規で自社製品が処方された患者さんの数 x 1回あたりの処方日数 x 1日薬価」が新規売上です。

通販の場合は、0.5程度が合格ラインと言われますが、DTCマーケティングではどうでしょうか?薬剤にもよりますが、患者さんの処方期間が通販より相対的に長いこと、処方スイッチも消費財よりは起こりにくいことから、0.5以下でも十分でしょう。

残念ながら具体的な数値の情報は持っていませんが、個人的には非常に興味深いです。

これで、合計6つの指標を紹介しましたが、それぞれの数値をどう改善するかもポイントです。

特にCPAに関しては、メディアを利用しますので、メディアの種類、記事やコピーの内容が適切かどうかで大きな差がでます。
また、オファー(小冊子の提供、セミナヘーの誘導など)によっても反応が変わります。

つまり、CPAを下げるには「メディア選び」「コピーライティング」「クリエイティブ」「オファー」の4つを最適化することなのです。

CPVDについては、受け皿となる患者向けウェブサイトの情報量や質、分かりやすさで異なりますし、疾患の特性でも違うでしょう。コンテンツのタイトル、見やすさ、導線などといったものを最適化することで、CPVDを下げることが可能です。

CPPDについては、DTCマーケティングの範囲ではなく、製品力や医療従事者向けマーケティングの影響が大きい部分です。したがって、製品ポジショニングやコミュニケーション戦略、MR活動を強化することが課題となります。

これらの数値が把握できれば、DTCマーケティングを科学的に予測・実施・分析することが可能になります。

今、通販のマーケティングは、これらの指標なしで語ることはできませんし、徹底した数値管理がなされています。
DTCマーケティングでは、これらの数値を把握することが難しい側面もありますが、概算でも推測でも、数値を使ってシミュレーションすることは大きな意義があると思います。その点では、通販マーケティングに学ぶ点は非常に大きいのではないうでしょうか。