さて、今回は、AIを活用したウェブ広告の1つ「ダイナミックリターゲティング」をとり上げます。
まず、ここ数年、汎用されているウェブ広告の手法に、「リターゲティング広告」があります。
これは、ウェブ広告や自然流入など何らかの方法で、目的とするウェブサイトに訪れた人に、もう一度、広告を見せる手法です。
通常、ウェブサイトを一度訪問したユーザーのうち、商品の購入や問い合わせなどをしてくれるのは、1~数パーセントです。
ですから、90%以上は収益につながりません。
そこで、コンバージョン、つまり商品の購入や問い合わせが無い90%以上の人に対して、もう一度、広告を見せることで収益化を図る手法です。
従来、このリターゲティングは、ウェブサイトを訪れて、特定の行動をとった人に対し、特定の広告を表示させていました。
つまり、あらかじめ決まった広告を準備しておき、そのバナーなどでリターゲティングを行っていたのです。
これは、今や一般的で、「スタティック(静的)リターゲティング」と呼ばれています。
そんなスタティックリターゲティングが進化したものが、ダイナミックリターゲティングです。
ダイナミックリターゲティングは、それぞれのユーザーがウェブサイトを見た際の閲覧履歴、行動履歴に基づき、
AIによる機械学習によって、最適な広告クリエイティブ(バナー)を自動生成し、リターゲティング広告を配信する手法です。
例えば、
・Aの広告を見て、購入に至っていないユーザーには、もう一度同じ広告を表示する
・Aの広告を見て、購入に至っていないが長く滞在したユーザーには、商品Aの利便性に特化した広告を表示する
・Aの広告を見て、商品Aを購入したユーザーには関連商品Bの広告を表示する
等が可能なのです。
ダイナミックリターゲティングの場合、あらかじめ複数の素材を準備して入稿すれば、AIによって、バナーの色やスタイル、CTAなどを変更し、最適な配信ができるのです。
従来のスタティックリターゲティングでは、何度も同じバナーの画像や広告を見せることになるので、良くないユーザー体験をさせてしまうリスクが多いことが問題でした。
一方、ダイナミックリターゲティングでは、ユーザーの興味や関心をある程度踏まえた広告が配信できるので、コンバージョン率が高まったり、ブランドロイヤルティ低下のリスクも低くなるのです。
ダイナミックリターゲティングはDTCマーケティングをはじめ医薬品マーケティングにも応用できそうですね。
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。