今回は、Facebookが米国で5月12日に開始したニュース配信サービス「インスタントアーティクル」を取り上げます。
Facebookは、New York Times、Buzzfeed、National Geographicなど、大手メディア計9社と提携して、ニュースフィード内で、直接、ニュースを読めるようにしました。このサービスによって、ユーザーがニュースを快適に読めるようになりました。
従来、Facebookでニュース記事を読むためには、誰かがシェアし、フィードに流れてきたニュースのリンクをクリックする必要がありました。つまり、ニュースサイトに遷移するため、別ブラウザを起動させ、そこでニュース記事を読み込む必要があったのです。
そのためにかかる時間は平均で8秒程度。スマホ使用中に10秒弱待つのは不便な気がしますね。
そこで、Facebookは、提携している大手メディアがFacebookのサーバー上にニュース記事をアップロードし、ニュースフィード内に、直接、記事を配信する仕組みを構築しました。
つまり、他のブラウザに遷移することなく、Facebook内でニュースが表示されるようになり、その所要時間は0.8秒。ユーザはストレスなく、ニュースが読めるようになったのです。
また、Facebookが提供するツールを使えば、フィード上で、動画を再生したり、地図のようなアプリを動かしたりもできるようです。
このサービスを導入するFacebookの目的は、ユーザーを増やし、広告収入を拡大することだと思われます。
現在、Facebookユーザーは、全世界で10億を超えています。そして、スマートフォンでFacebookを閲覧するユーザーは増加し続けています。そこで、グーグルなどのブラウザを立ち上げてからニュース記事を読み込む不便を解消する「インスタントアーティクル」を開始したのです。
「インスタントアーティクル」は「広告」を掲載することができます。その、広告収入の100%がメディアのものになるようにすることで、大手メディアを集めたのです。(広告ネットワークを使う場合は通常通り70%がメディア分)
現時点では、まだ実験段階で米国だけのサービスですが、今後、結果を分析しながらサービスを拡大していく予定のようのです。
これが拡大すれば、
・Facebookは、スマホユーザーをどんどん増やす。
・Facebookは、メディアを囲い込み、ユーザーデータを増やす。
ことになります。
Facebookは、現在でも、ユーザーの属性、興味関心などに関する豊富なデータを持っています。
これを活用すれば、より精緻なオーディエンスターゲティングができるようになります。
サービスが拡充すれば、今後、医薬品マーケティングやDTCマーケティングにおいても、 Facebookでニュースを閲覧する医師に対して、コンテンツ誘導などを実施する価値がでてくる可能性もありそうです。
いつ日本でこのサービスが開始されるかまだわかりませんが、今後の注目のサービスの1つです。