さて、今回のテーマは、「メディアコマース」です。
最近では、コンテンツマーケティングが活発化しています。
つまり、消費者向けに商品やサービスを販売する企業が、
自社商品やサービスの周辺情報や関連情報を
独自のコンテンツとして発信する場合が増えているのです。
このようにコンテンツを自社が保有しながらコンテンツを発信するメディアは「オウンドメディア」と呼ばれます。
一方、自社の商品やサービスをネットで販売するイーコマースサイトは、
オウンドメディアとは別のウェブサイトとして運営するケースが多くあります。
従来は、イーコマースと言えばほとんどこのタイプでした。
つまり、「販売」と「啓発」「お役立ち情報」を明確に分けて
情報発信しているケースが多いのです。
しかし、最近ではECサイトとオウンドメディアの統合を行う企業が増えてきました。
この「イーコマース」と「オウンドメディア」の統合を
「メディアコマース」と呼びます。
また、メディコマースのためのウェブサイトがメディアコマースサイトです。
このメディアコマースが注目され、実際に取り組む企業が増えてきた背景は、
●広告費の高騰によるコンテンツマーケティングの強化
●差別化要素が機能から絆・感情に変化してきたこと
が挙げられます。
イーコマースサイトでは一般的に、商品カタログに
価格や機能などの情報を掲載して、ウェブ広告で販売促進してきました。
しかし、今では商品の機能や価格では差別化は難しくなってきました。
また、ユーザーも商品やサービスの開発物語、哲学、こだわり、
使用シーンなど機能や価格以外の価値を求める人が増えてきました。
そんな中で、イーコマースサイトへの誘導をリスティング広告に頼って集客してもなかなか成果が得にくくなってきたのです。
さらにイーコマースサイトでは、コンテンツが少なく
検索エンジンの上位表示化(SEO対策)が難しいのが現状です。
よって集客には広告が必要です。
そして、広告費が高騰する中で、
低コストでユーザーの流入を増やす手段が必要になってきたのです。
つまり、コンテンツマーケティングの強化で
SEOに強いウェブサイトが必要になってきたという事です。
こうした背景から「イーコマース」と「オウンドメディア」の統合を
実践する企業が増えてきたのです。
これは、集客と絆づくりを1つのウェブサイトで、同時に行おうとする考え方です。
ユニクロや良品計画などは小売り業ですが、
ウェブサイトのメディア化を進めています。
一方、料理レシピで有名なクックパットが、
衣料やキッチン用品を扱う「アンジェ」というECサイトを買ったのは、
メディア企業がイーコマースと統合しようとする動きの1つです。
今後は、プッシュ型のイーコマースは、プル型のコンテンツマーケティング主導の方向に大きな変化が起こりそうです。
さて、医薬品マーケティングに目を転じてみると、企業サイトで医薬品情報から疾患啓発情報まで全て情報発信しているケースもあれば、
医薬品ブランド別でウェブサイトがある場合や
疾患啓発サイトが独立している場合があります。
医療医薬品の場合は、イーコマースを行うことは無いので
メディアコマースの考え方をそのまま適応することはできません。
しかし、自社のサイトのメディア化は、
疾患啓発による患者さんの受診促進、企業PRの観点からも大切です。
他業界で変化しているウェブマーケティング、デジタルマーケティングの動きをうまくアレンジして自社に取り入れてみてはいかがでしょうか?
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。