医薬品マーケティングにおけるオムニチャネルを考える-Part2

さて、前回から医薬品マーケティング・コミュニケーションにおけるオムニチャネルを取り上げています。

前回、医薬品マーケティング・コミュニケーションのオムニチャネル化とは、

「医師を起点にして、あらゆる顧客接点を連携させることで、医薬品の認知から採用・処方に至る全てのプロセスにおいて、どのコミュニケーション・チャネルを経由してもシームレスな環境を整えること」

であると定義しました。

そのために、「コミュニケーション・デザインの再構築」が大切であることをお伝えしました。

その最初のステップが、医師が情報を入手する接点をあらためての見直してみることです。

自社がターゲットとする医師の属性やプロフィールなどのセグメント別に

・勤務中の情報入手方法は?
・勤務後の情報入手方法は?
・週末・休日の情報入手法方は?

などを、自社でこれまで蓄積したデータや経験から推測し、それを実際のインタビューや調査等で検証することなります。

医師が医薬品関連情報を入手できる場は、医局・診察室・学会・講演会・研究会・自宅etc・・・・・・経由ルートは、MR・紙媒体・PC・スマホ・他の医師などです。

さらに、何をどんなメディアで情報収集するかになると多岐にわたります。

たとえば、

開業医のA先生は60代前半。今でも専門分野では研究熱心専門分野については、診療の合間でさえもPubmedで文献検索して自ら調査。一方、非専門分野は仲の良いMRにメールで情報提供を依頼。夜は、医師仲間とメーリングリストで情報交換。時々、メドピアで薬剤の評判もチェック。

病院勤務のB先生は病院の准教授であり、かつ、知り合いの医院での勤務を兼務。学会シーズン中は、自身が関係するほぼ全ての学会に参加し様々な情報入手日常的には、病院と医院の移動中に、スマホを使って医学英語のコンテンツなどをチェック。海外経験も多いことから、海外の医療情報やウェブサイトにも精通。MRとは最低限しか面会しない。

など。

少し脚色していますが、このお二人は実在の医師です。どの医師でも情報入手のパターンは、お一人お一人違うでしょう。それでも、いくつかのパターンには分類できると思います。

医師一人ひとりの情報入手行動を分析すれば、

・現状の接点のどこに問題があるのか?
・新たに、どこで医師と接点を持てるのか?
・手段をうまく組み合わせることはできないか?

などを、あらためて考える機会が得られます。

つまり、このステップ自体が戦略を考え直す機会になり得ます。

オムニ的な発想は、医師の情報入手の「接点」に新たな取り組みを考えたり、従来にない接点を利用できないか、作れないかを医師の視点で考える作業プロセスが、最初の一歩です。

そこには、必ず新たな発見があると思います。

是非、こうした分析に取り組んでみてはいかがでしょうか?

次回は、具体的に「マルチ」と「オムニ」がどう違うかについて取り上げます。