- 今回は「プロフ」という言葉について説明しようと思います。
「プロフ」は「プロフィール」を省略した言葉で、読んで字のごとく、ウェブサイトで「自己紹介」を行うページのことを言います。「プロフ」は、中高生の間で、携帯電話を通じたコミュニケーションツールとして利用が広まりました。
それが、パソコンでも利用ができることから、多くのウェブサイト、特に会員登録を必要とする「SNS」や「ブログ」のウェブサイトで、「プロフ」サービスが提供され、利用者が拡大しているのです。では、実際に「プロフ」を提供しているウェブサイトをみていただきましょう。
FC2プロフFC2では「ブログ」サービスも提供していますので、「ブログ」を持っている「ブロガー」はほとんどが「プロフ」ページを持っていますし、「ブログ」は持っていないが「プロフ」だけを作成している人も多数存在します。
「プロフ」は自己紹介ではありますが、公開する情報を作成する人が決定することが出来ます。
ニックネームだけを公開する人もいれば、自分が作成したウェブサイトのURLを紹介している人もいます。
このように、自分で公開できる情報をコントロールできますので、中高生の間では、会社員の名刺のような使い方で利用していることが多いようです。また、「ブログ」は、定期的にコンテンツである「日記」を追加する必要がありますが、「プロフ」は、一度作成してしまえば、それほど更新する必要もありません。
それでいて、自分専用のページが作成されますので、もっとも手軽にウェブページを自動的に作成してくれるサービスであると言えるでしょう。自分でウェブサイトを作って何かを表現したい、という要望に、最も手軽に応えるサービスとして、「プロフ」は、今後、中高生だけでなく、一般に広く利用されていくと考えられています。
以前に、「ブログパーツ」の解説で述べたように、日本における「ブログ」の普及率は、世界で最も高いのが大きな特徴ですが、プロフにより、更に多種多様な「個人メディア」の普及が進んでいくでしょう。
では、この「プロフ」をどのように医薬品マーケティングに応用できるでしょうか。
医療従事者向けのウェブサイトの多くは、会員登録制で、情報を提供を行っていても、会員間、つまり医療従事者間のインタラクションや情報交換ができる「仕組み」や「仕掛け」もっているものは殆どありません。
しかし、消費財など他業界では、「Web 2.0」という考え方に基づいた、会員が相互に情報を発信できるしかけもできつつあります。
つまり、購入者だけが会員登録できるコミュニティサイトを企業が提供し、「掲示板」や「SNS」的な機能をもたせて、オーナー同士が意見交換することで、コミュニティ作りを支援しているのです。
車のコミュニティであればメンテナンスやドライブ情報、住宅の場合は掃除のコツやインテリアの相談が出来る、といった具合です。その際、「会員」の「自己紹介」を行うツールとして「プロフ」を利用するケースがあります。
これは、会員同士が、プロフにより自己開示することで、「信頼」しあえる環境を創生し、コミュニケーションの活性化を図ってもらえるように意図されたものです。
「プロフ」そのものは、自己紹介をおこなうページですので、それだけでウェブサイトの利用者の満足度を上げるわけではないかも知れません。
しかし、従来の「企業―会員」といった「縦」の情報提供に加えて「会員―会員」の「横」の情報交換を促進するツール、つまり「会員のコミュニティ作り」を支援するツールの一つとして、「プロフ」は利用価値があるのではないでしょうか?
このように一見、「若者の遊び道具」的なツールにも、コミュニティ形成のエッセンスが含まれています。
医薬品マーケティングにおいても、こうしたトレンドを把握しておくことで、新たな価値創造のヒントが得られるのではないでしょうか?