さて、今回は「パーチェスファネル」を取り上げます。
英語では「Purchase Funnel」で、直訳すると「購入」+「漏斗(じょうご)」です。
AIDMAやAISASなどさまざまなモデルと同じく、
集客から見込み客が購入に至るまでのプロセスを売り手側の視点で視覚的に表現したものです。
ファネルは、口が大きく先へ行くほど小さくなることを示し、
集客から購買に至るまでに客の数が減っていく購買プロセスと同じであることから、
比喩的に使われています。
最近、MA(マーケティングオートメーション)やリードナーチャリングなどが注目される中で、
この言葉もビジネスで使われる機会が増えています。
パーチェスファネルのプロセスは、
認知 → 興味・関心 → 比較・検討 → 購入 が基本系ですが、
最近のB to Bマーケティングでは、ウェブとリアルを組み合わせて、
マーケティング部門と営業部門が協力して案件を獲得する流れを作り、
それをMA化することが重要視されています。
今回は、その考え方でパーチェスファネルを説明します。
医薬品マーケティングでも、最初がウェブで集客する必要性がないことを除けば、
大学病院や基幹病院などにおける新薬採用のプロセス管理にも活用できそうです。
■ステップ1 集客(ウェブ訪問者)
広告や検索エンジン経由でインターネット利用者がウェブサイトへアクセスした段階です。
B to Bマーケティングでも、顧客の業種が多岐に渡る場合は、やみくもに営業をせず、
有用なコンテンツなどSEOによって、
集客するコンテンツマーケティングを実施する企業が増えています。
医薬品マーケティングの場合は、病院やクリニックが候補なので、
基本的なコンタクト情報はすでに保有されています。
■ステップ2 リード獲得
一般的なB to Bマーケティングでは、興味を持った見込み客に
メルマガ登録、資料請求、各種資料ダウンロード請求、セミナーの申込み、
eBookなどを提供することで、より興味・関心の高いコンタクト情報を取得します。
医薬品マーケティングの場合は、大病院など各施設へMRが訪問して、
新薬の情報提供活動の許可を得る段階です。
■ステップ3 MQL選定
MQLとは「Marketing Qualified Lead」の略で、
獲得した見込み客を自社のビジネスに合わせて評価し、選別したリードです。
医薬品マーケティングでは、最初からターゲティングされていますから、
このプロセスはありません。
しかし、顧客が多岐に渡るビジネスの場合は、
ここでマーケティング部門が見込み客を評価して、営業部門に引き渡すのです。
■ステップ4 SAL選定
SALとは「Sales Accepted Lead」の略で、
マーケティング部門から得たMQLを営業部門で再評価し、
営業活動を展開するターゲットとしてのリードです。
医薬品マーケティングでは、
営業活動の前に病院や医師の基本的な情報が共有されていると思います。
製薬企業でも、
ターゲティングの段階でマーケティング部門と営業部門とでコンフリクトが起こりますが、
MQLからSALの一致は大きな課題です。
■ステップ5 案件化
SALが決定したら営業活動開始となります。
医薬品マーケティングでは、
新薬の情報提供活動の許可が下りてディテールを開始する段階です。
■ステップ6 契約
晴れて受注に至った段階です。
医薬品マーケティングでは新薬の採用です。
パーチェスファネルは、このステップごとの数値や次のプロセスへの転換率を測定しながら、
マーケティングと営業活動の最大化を図るための道具として活用されています。
医薬品マーケティングでもアレンジすることで活用可能なことも多いので、
今後、MAとセットで発展していくのではないでしょうか。
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。