さて、今回は、「コンテンツマーケティングによるSEOとDTCマーケティング」のPart 3です。
最初に、この方法が医薬品マーケティング、特にDTCマーケティングでも応用可能であること、そして、方法論としては、
1)「ワードプレス」を使い、目的とする領域のコンテンツを継続的に蓄積・更新されるウェブサイトを運用
2)事前に、SEOを行うためのキーワードを様々な分析ツールで分析し、有効なキーワードを選定
3)そのキーワードを含むコンテンツを、グーグルが望む最適な構造で文章化
4)検索による自然流入を増加させることで、「広告」を使わないで効果的なコンバージョン(成果=売上)を獲得
であることを、前回、お話しました。
また、SEOで1位と10位では売上で7倍違うことをシミュレーションし、上位表示の大切さをお示ししました。
そうだとするなら、やるべきことは、自社の疾患領域の検索数が多いキーワードで、上位表示を狙うことです。
その前に、現状の確認と目標の設定が必要です。
数値は若干変えていますが、当社がこれから実行するケースは次のとおりです。
ある製品のイーコマースサイト
<現状>
SEO順位: 15位
現状のPV数: 50,000PV/月
コンバージョンレート: 2% (リピート、広告によるコンバージョンがあるの
で、比較的高い数値です。)
コンバージョン数: 50,000 × 2% = 1000件
このケースは、数千円から1万円の商品で、成果は「コンバージョン=購入」です。したがって、DTCマーケティングで求める「受診」とは異なります。
コンバージョンの比率は、その商品の価格などで基準値が異なりますが、算定ロジック自体は同じです。
<6ヵ月後の目標>
SEO: 5位
PV数: 150,000PV/月
コンバージョンレートは 1% と仮定できます。
ここで、なぜコンバージョンレートが下がるの?と思う方も多いと思います。
当社の場合、現状は、リスティング広告でアクセスを呼び込んでいます。リスティング広告に反応する人は「今すぐのアクション」を求めている場合が多いため、現状のコンバージョン率は比較的高いのです。
一方、「コンテンツ」を探している人は、その名のとおり「コンテンツ=情報」を求めている場合が多いのです。つまり、これからコンテンツマーケティングをしかけるウェブサイトで集まってくる人々は、商品をすぐに求めていません。そのため、コンテンツマーケティングでSEO対策を行う場合は、コンバージョン率は下がるのです。
当社の場合は、50,000PVは現状の2%で、追加の100,000PVに対するコンバージョン率を0.5%と仮定しました。
その結果、トータルのコンバージョン率は、
(50,000 × 2% + 100000 × 0.5%)/150,000 = 1%
となるのです。
そう仮定すると、コンバージョン数は1000個から1500個と、500個増えることになります。商品の価格が5,000円だとして、250万円の売上増です。
これを広告で実現しようとすれば、150万円以上はかかりますが、コンテンツであれば人件費だけです。もちろん、コンテンツ制作を外注すれば費用は発生しますが、広告費ほどにはなりませんし、コンテンツは蓄積されて資産となります。
1年後の目標を、SEO 2位以内で300,000PV/月とすれば、
50,000 × 2% + 250,000 × 0,5% = 2250個
となり、売上は初月からでは1250個増えます。
コンバージョンレートは、1,250/300,000 = 0.75%となります。
この数値は実現しているものではありませんが、コンテンツさえ一定数以上、継続的に更新すれば、実現不可能なものではありません。
DTCマーケティングでは、長期的にみた場合、瞬発的なキャンペーンなどによる「ウサギ型マーケティング」よりも、コツコツをコンテンツを積み上げる「カメ型マーケティング」が適していると思います。コンテンツマーケティングを実施を検討する場合は、まず、自社のSEO順位、PV数、コンバージョン率(受診数/訪問数)の現状を確認して、売上増分をシミュレーションしてみてはいかがでしょうか?