さて、前回、「サービス・ドミナント・ロジック」を取り上げました。
サービス・ドミナント・ロジックとは「モノ」と「サービス」を統合して捉え、企業と顧客が共に価値を創造していくという視点から
企業活動やマーケティングを考えて構成しようとする概念でした。
現代社会では、「モノ」の製造や販売だけでは、
顧客に十分な価値を与えることができなくなってきたことから、
この概念に注目が集まっています。
また、サービス・ドミナント・ロジックの概念は、
製薬企業や医薬品マーケティングでも応用しやすい考え方であることも
お伝えしました。
今回は、サービス・ドミナント・ロジックの実例をご紹介します。
有名なところでは、「Zipcar」があります。
これは、短距離・短時間の車のシェアリングサービスです。
車は、「モノ」として所有すれば好きな時に好きなだけ移動や遊びに使えます。
一方、費用や維持費の負担があります。
それを解消したのが、レンタカーサービスです。
しかし、このサービスは一定時間の使用での料金体制なので、
短距離・短時間の使用には不向きです。
また、それなりの費用や車を返す手間などもあるので、
レンタルへの心理的・経済的負担も感じます。
そのような状況で、街中でタクシーを使わず、数十分、数時間といった
短い時間で車を使用したいと考えるニーズも一定数ありました。
つまり、車の所有とレンタカーのサービスでも埋めきれないニーズが
あったのです。
そんな声を拾い上げて共創・シェアの考え方で生まれたのが、Zipcarです。
従来のモノや限界・制約の多いサービスしかなかったところへ、
顧客へ提供する新たな価値を第一に、「クルマ」というモノを
全体的なサービスに組み込んだ事例の1つです。
医薬品マーケティングでも、情報提供や医療機器の使い方のサポートなど
「サービス」的な部分について、大きなサポートがなされています。
しかし、多くの場合は、「医薬品や医療機器を売るための手段」として
捉えていることが多いのではないでしょうか?
ぜひ、一度、サービス・ドミナント・ロジックの考え方で
自社の医薬品マーケティングのあり方を見直してはいかがでしょうか?
このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。