今回は、「twitter」という言葉です。
この「twitter」は、アメリカのある有名ブロガーが注目のサービスとして紹介してから、急速に広まりました。
まだ、それほど知名度は高くありませんが、急速に利用者が増えてはいます。
「twitter」の説明をする前に、一つ質問させてください。
みなさんは、中川翔子さんという芸能人(「しょこたん」と呼ばれています)のブログをご存じでしょうか?
彼女のブログは、つい先日、トータル10億アクセスを達成したほど、日本で最も人気のウェブサイトの一つです。人気の大きな理由は、「1日に70回も更新するなど、更新頻度がとても多いこと」です。
一回一回の更新は、「さっき、番組の収録が終わりました。」「今から新幹線に乗ります。」といった、彼女のファン以外には「重要とは思えない情報」です。
しかし、ファンにとっては、1日に何回も、多いときにはそれこそ何十回も発信されることで、彼女の「今の情報」を共有できているような気持ちになり、多くのファン、そしてファンの口コミに感化された人までが訪れる超人気のブログとなったのです。
この「今の生情報」は、時間が経てば価値が急に低下してしまいます。実際、彼女が昨日、新幹線に乗った、という情報を知ったところで、あまり意味はないでしょう。
しかし、もし、その情報発信時に自分の近くにその人がいればどうでしょうか?
例えば、「同じ新幹線に乗っているかも知れない」ということになれば、その情報はファンにとっては「今を同じ場所で共有できる」大きなインパクトを与えることになります。
このように「今の生情報」を提供できる仕組みとして生み出されたのが「twitter」なのです。
「twitter」は、その利用者が「What are you doing?」という問いかけに、2~3行程度の短い文章で答え、その答えた内容を他の利用者が閲覧できる、というサービスです。
まさに「今○○をしている。」「これから○○に行きます。」といった、「今の生情報」を簡単に発信できるのです。
そのため、「twitter」は、ブログよりももっと手軽に情報発信がおこなえるツールとして、「マイクロ・ブログ」という呼ばれ方をしています。
このサービスは、個人の利用ももちろんですが、ニュースの配信やコミュニティ作りなどのマーケティング活動にも利用されています。
例えば、アメリカのニュース専門テレビ局「CNN」がヘッドラインニュースを「twitter」を利用して配信しています。
そして注目のアメリカ大統領選挙でも、ほとんどの候補者が「twitter」を使って、「自分の今」を知らせることで「支持者獲得」のための活動に利用しています。
クリントン候補の「twitter」
日本ではマツダが、ロータリーエンジン発売40周年を記念して、「ブログパーツ」と「twitter」を組み合わせたキャンペーンをおこない、ファンから多くのコメントが寄せられています。
「マツダ ロータリーエンジン記念サイト」
(「twitter」へ投稿したコメントが自動で表示される「ブログパーツ」を配布しています。)
このように、「twitter」は、「SNS」や「ブログ」ほど利用者が多いというわけではありませんが、今後、マーケティングに活用できるツールとして注目と期待を集め始めています。
では、こうした「twitter」のような「マイクロ・ブログ」のサービスを、医薬品マーケティングではどのように活用できるでしょうか。
従来のウェブマーケティングでは、多くのコンテンツを蓄積すれば、そこに多くのアクセスが集まり、信頼やロイヤリティが高まるといった、比較的「静的」な方法で実施されています。
メーリングリストや掲示板なども一部、活用されていますが、「ライブ感」という点では、それほど重要なものではありません。
一方、「twitter」を使った方法は、より「動的」なものになります。
そのため、情報が体系的に整理した状態で提供されるというより「今、その場で困っていること、関心のあること」をライブで解決するといった場合に向いているでしょう。
具体的には、インターネットによるセミナーなどにライブ配信の際に、視聴者から「twitter」で、コメントや質問をもらうなどの方法が考えられます。
医師向けであっても市民公開講座のような医療消費者向けであっても、「その瞬間で感じた意見をその場で吸い上げる」ためのツールとして活用できるでしょう。
また、患者向けウェブサイトで、患者コミュニティを作ることもできそうです。
同じ疾患を持つ患者さん同士が、コミュニケーションをおこなうツールとして配布することで、疾患に関する情報を共有することができるのではないでしょうか。
「マイクロ・ブログ」に、配信する情報は携帯電話でも投稿できる2~3行程度の短いものですから、ブログを書いたり、日誌に記入するのとは異なり、あまり患者さんに負担をかけることもないでしょう。
こうして、患者さん同士で「今の状態」をコミュニケーションすることは、お互いに心強く、治療に対する励みになるのではないでしょうか。
さらに、医療従事者向けのウェブサイトでも、日々の診療での気づきや疑問などを簡潔な形で配信いただくことは、日常の診療で多忙な医師であってもおこなっていただける可能性がありそうです。
まだ新しいサービスで医薬品マーケティングにどのように適応するかということは、研究の余地は多いと思いますが、面白い方法が見つかるかもしれません。
今、殆どの生活者が何らかの形で、インターネットを利用するようになり、「CGM」が、他の生活者に大きな影響を与えるようになってきました。
この「CGM」を配信していただく仕組みとして、「ブログ」「SNS」などをご紹介してきましたが、今回の「twitter」のような「マイクロ・ブログ」についても、活用法を検討されてはいかがでしょうか?