さて、今回は用語の解説ではなく、「高齢化におけるウェブマーケティングの課題」について考えてみたいと思います。
まず、総務省の「平成26年版 情報通信白書|インターネットの利用状況」で、年齢別や属性別のインターネットの利用状況がわかります。毎年、白書が出ているので、トレンドも把握することが可能です。
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc253120.html
いくつか見るポイントはあると思いますが、
●スマホでの利用が急増している
●13歳以上~59歳以下は、全世代で90%以上の利用率
●60歳以上では、50歳代までと溝があり、利用率は70%台に低下
●しかし、60歳~69歳のインターネット使用率の伸長が大きい
●所得と使用状況が正の相関関係にある
などです。
50代までと60代以降にあるやや大きな溝は、就労中か退職後かの違いがあるでしょう。就労していれば、何歳でも業務でインターネットの利用が必要なので使う機会が増えます。しかし、退職すれば、義務は無くなって、自分で積極的に使う方以外は使用する機会がなくなります。
また、視覚が衰えたり、新しいことを覚えたりといったことも苦痛になるので、新しいデバイスを使うかどうかも疑問です。しかし、50代から使い続けたり、退職後も趣味などの業務以外の使用で、60歳以上の世代の利用率が増える可能性も高そうです。
医療者を考えた場合、医師は60歳以上でも現役の方が圧倒的に多く、ほぼインターネットは使っているでしょう。一般の方であっても、一定の知識水準の層は、所得との相関もあるので、利用率は高いと言えます。
今後は「高齢者」が対象であっても、医療者向けの医薬品マーケティングであれ、一般生活者むけのDTCマーケティングであれ、ウェブマーケティングの重要性は高まるでしょう。また、スマホの活用も益々進むでしょうから、それに対する対策も重要度は増すでしょう。
ただ、60歳以上の方の視覚の衰えなどを意識して、ユーザビリティには工夫が必要な点もたくさんありそうです。
ウェブサイトについては、
●文字は大きめで、行間も十分に取る
●インフォグラフィクスなどで視覚的に理解できるようにする
●ボタンにマウスを載せると色が変わる等、クリックした際にわかりやすくする
●サイト全体の構造が理解しやすい設計を心がける
●特に見て欲しいコンテンツは、サマリーなどを作成して、背景色を変えたり、囲みを作る
などを意識することがポイントです。
また、会員制サイトやメールマガジン登録などのEFO(Entry Form Optimization)の観点からは
●入力フォームは大きめ
●必須項目表示は少なめ
●全角/半角入力間違いは、自動処理
●ふりがなは、自動入力
●郵便番号入力で、住所は自動入力
などを工夫することで、登録を止めたくなる要因を排除することも大切です。
高齢化がますます進む中、ウェブマーケティングもそれに即した工夫が必要ですね。